日韓仏共同製作『The World Before』に新人監督部門の特別言及 サンセバスチャン映画祭
サンセバスチャン映画祭の新人監督部門で、韓国・日本・フランス共同製作の『The World Before』が特別言及を受けた。本賞は『Body of Glass』で、賞金規則を特別言及に当てはめることはできない。公式カタログと部門規則から、日本の共同製作会社の役割表示と公開情報の限界を確かめた。

第74回サンセバスチャン映画祭の新人監督部門で、ユン・ダンビ監督の長編『The World Before』が特別言及を受けた。映画祭が2026年9月26日に公表した受賞一覧では、Kutxabank-New Directors賞の受賞作はナエミ・アダ監督の『Body of Glass』と記され、その下に『The World Before』が「Special Mention」として別に掲げられている。日本の読者には日本を含む国際共同製作としても関係があるが、両作を同じ賞の共同受賞作と呼ぶのは正確ではない。
映画祭の2026年規則は、新人監督部門を監督にとって初めて、または2本目の長編作品の選出枠と定め、選ばれた全作品がKutxabank-New Directors賞の対象になるとしている。今回の結果発表は『Body of Glass』をアダの長編デビュー作、『The World Before』をユンの長編2作目と紹介した。部門名の「新人」は監督歴がまったくないことを意味せず、規則上は2作目も含む。
同賞の本賞は、専任の国際審査員が決める。映画祭の審査員一覧にはフアン・パブロ・ミレルを委員長として、マリナ・シャリトン、ジョナサン・ロムニー、ダナ・ブランクシュタイン・コーエン、タマル・ノバスが載る。公式競争部門の最高賞ゴールデン・シェルを選ぶアイラ・サックスらの審査員団とは別組織だ。結果表に特別言及とあることは確認できるが、個々の審査員の票や選考理由を資料から推測することはできない。
賞金制度も受賞名を区別する理由になる。2026年の部門規則は本賞の総額を税引き前5万ユーロとし、受賞作の監督とスペインでの劇場配給者に半分ずつ配分すると定める。配給者がいない場合、その持ち分は他の人や会社に移さず空位とする。ただし、公式結果で『The World Before』に付されたのは特別言及であり、この5万ユーロを同作や日本の共同製作者が受け取ったという資料はない。賞金の規則を特別言及へ自動的に当てはめるべきではない。
作品の公式カタログは製作国を韓国、日本、フランスと記し、韓国のCheonggwaを製作、日本のHumanite Co., Ltd.とフランスのComme des Cinémasを共同製作の欄に載せる。日本の会社名が明記されている点は、日本の映画産業との接点を示す。ただし、カタログの製作国表示や共同製作欄だけでは、資金の分担比率、権利の所在、日本国内の配給契約までは分からない。国際共同製作という事実と、国内での公開決定は分けて読む必要がある。
カタログによれば上映時間は115分、原語は韓国語で、監督と脚本はいずれもユン・ダンビが担当する。主演欄にはシム・スビンとキム・オジンが載る。公式のあらすじは、本土へ続く道路のない島で育った17歳のジンと、祖母の葬儀で戻って来たドゥジェの交流を描く。夏のあいだに見慣れた島と自分自身の見え方が変わっていく、という紹介だ。これは映画祭が示した筋立てであり、記者が本編を鑑賞して演出や演技を評価した記述ではない。
この報道で確認できるのは、新人監督部門での特別言及、作品の共同製作表示、映画祭の公式作品情報である。日本語字幕付き上映や日本の劇場公開日、配信開始日は、参照した受賞結果と作品カタログからは確認できない。鑑賞機会を探す人は国内配給会社や上映館の個別発表を待つ必要がある。掲載したクルサールの写真は2012年の建物の資料写真で、2026年の授賞式、出演者、映画の場面を写したものではない。
프리즘코리아 편집국 > 小川美緒



