文化

原田マハ作品にFIPRESCI賞 サンセバスチャンの年次グランプリとは別の受賞

第74回サンセバスチャン映画祭で原田マハ監督の『Muyou no hito / In My Father's Room』がFIPRESCI賞を受けた。同じ一覧に載る年間最優秀作品のグランプリと区別し、公式カタログと映画祭日刊紙から作品の位置づけを確認する。

Подсвеченное здание Курсааль вечером, архивный снимок
Курсааль в Сан-Себастьяне, 16 апреля 2009 года. Архивный вид здания, не фотография церемонии 2026 года. Фото: Zarateman, общественное достояние. · 참고 이미지 / Reference image · Zarateman · 출처 / Source · Public-Domain · Contributor-declared changes: Server proportional resize/compression to maximum width 1280; no content alteration.. PRISM automatically re-encoded with JPEG quality 82; 1600x1052 to 1280x842 pixels, aspect ratio retained with no upscaling.

原田マハ監督の『Muyou no hito / In My Father's Room』が、第74回サンセバスチャン映画祭でFIPRESCI賞を受賞した。映画祭が2026年9月26日に公表した結果は、同作を並行賞の欄に掲載している。同じ作品にはアテネオ・ギプスコアノ賞も記載された。日本の作家による映画作品を知る入り口となる結果だが、賞名の似た項目は分けて読む必要がある。

FIPRESCIは国際映画批評家連盟の略称で、今回の結果一覧には「年間最優秀作品のFIPRESCIグランプリ」という別の項目もある。そちらの受賞作はポール・トーマス・アンダーソン監督の『One Battle After Another』だ。原田作品のFIPRESCI賞を年間グランプリと言い換えると、対象作品も賞の位置づけも違ってしまう。

Interpretation

年次グランプリについては、FIPRESCI自身の8月1日付発表が選考の流れを説明している。世界各地の会員による候補選定を経て5作品を挙げ、最終投票で選ぶとしたうえで、サンセバスチャン映画祭の開幕式で発表・授与すると告知していた。これは開催期間中の作品に付された個別の受賞名と、年間を単位とする表彰が同じ場所のニュースに現れる背景になる。候補発表の日付と9月の結果発表も混同しないことが大切だ。

原田作品の公式カタログ上の所属はオフィシャル・セレクションで、日本製作、上映時間109分と記されている。出演者には蒼井優、イッセー尾形、永山瑛太、渡辺えりが並ぶ。主催者のあらすじは、美術館で働くサトミが、ひと月前に孤独のうちに亡くなった父の部屋の鍵を受け取り、知らなかった父の世界をたどる物語として紹介する。これは作品を識別するための公式説明であり、本稿の筆者が上映を見て下した演技や演出の評価ではない。

9月22日付の映画祭日刊紙は、同作を原田の映画監督デビュー作、映画祭での世界初上映として紹介した。記事が伝える原田の発言では、普段からイメージをもとに書いており、それを映像の道具で形にしたかったという。この説明は、小説を書く人が映像へ表現手段を広げた経緯を示す。一方、受賞発表より前に掲載された記事なので、その発言をFIPRESCI賞の審査理由として引用することはできない。

Interpretation

日本語で映画祭の結果を追う読者にとっては、作品の参加部門、受けた賞、作り手が説明する制作動機を一つずつ確認することが有効だ。オフィシャル・セレクションの作品に並行賞が付くことと、主要審査員が授与する最高賞を取ることは同じではない。今回の資料で確認できるのは原田作品の二つの受賞と公式の作品情報であり、個々の審査員の投票や観客全体の評価は示されていない。

掲載写真はZaratemanが2009年4月16日に撮影したクルサールの建物で、パブリックドメインの資料写真を使用した。2026年の授賞式や原田作品の場面を写したものではない。

小川美緒프리즘코리아 편집국 > 小川美緒

原資料と根拠

  1. 映画祭公式:2026年受賞結果 ↗
  2. FIPRESCI:年次グランプリ候補と選考案内 ↗
  3. 映画祭公式:原田マハ作品カタログ ↗
  4. 映画祭日刊紙:Querido papá ↗
誤りの報告・訂正依頼 ↗

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