石油需要見通し、1カ月で日量94万バレル下方修正 軽油と化学原料に集中
IEAの9月石油市場報告は、2026年の世界需要を前年比日量250万バレル減と予測した。8月の予測から減少幅が日量94万バレル拡大し、落ち込みは中間留分と石油化学原料、とりわけアジアに集中するとみる。原油の供給量だけでは説明できない製品市場の詰まりを、8月版との比較と輸出・精製統計から検証する。

国際エネルギー機関(IEA)は9月11日に公表した石油市場報告で、2026年の世界の石油需要が前年より日量250万バレル減ると予測した。8月版で見込んでいた日量160万バレル減から、減少幅は約94万バレル拡大した。単に原油価格が上がるという話ではない。IEAは需要の落ち込みが中間留分と石油化学原料、とりわけアジアで大きくなると明記する。製品が必要な場所へ届きにくいこと自体が、消費量の見通しを押し下げている。
二つの報告の基準をそろえる必要がある。8月報告の日量160万バレル減も、9月報告の日量250万バレル減も、2026年の世界需要が前年と比べてどれだけ変わるかという予測だ。9月の「94万バレル」は前年との差そのものではなく、前月に発表した予測からの下方修正幅である。丸めた二つの年間数値を単純に引くと90万バレルになるが、IEAが記す修正幅は94万バレルだ。精密な改定幅には同機関の表示値を使う。
9月報告では、軽油などを含む中間留分と石油化学用の原料が、需要減の中心とされた。軽油・ガスオイルは世界需要の約3割を占めるとIEAは説明する。米国の軽油・ガスオイル価格は9月上旬に1バレル200ドルを超え、戦争前を94%上回ったという。ただしこれは米国の製品価格の記述であり、日本の給油所価格や国内の石油化学製品価格が同じ割合で上昇した証拠ではない。
供給側でも原油と製品を分けて読むべきだ。IEAによると、湾岸諸国からの8月の軽油・ガスオイル純輸出は日量39万バレルで、戦争前の4分の1を少し上回る水準にとどまった。湾岸からの石油製品と液化石油ガスの輸出も2月比で約6割、日量370万バレル少ない。一方、原油にはホルムズ海峡を迂回する輸送の増加などが一部の減少を補う経路がある。原油の流れが部分的に戻っても、製品と化学原料が同じ速度で回復するとは限らない。
精製の数字もその差を示す。世界の製油所処理量は8月に日量8140万バレルと前月から増えたものの、前年同月より日量420万バレル少なかった。IEAは2026年通年の処理量を日量8150万バレル、前年より日量260万バレル減と予測する。1カ月の処理量と通年予測を混同してはいけない。中東、ロシア、アジアの原油輸入国にまたがる精製の落ち込みが、原油そのものの不足に加え、使える製品の不足を長引かせる可能性がある。
8月版からの変化にも意味がある。8月のIEAは、ホルムズ海峡の閉鎖と高い燃料価格が需要を押し下げるとして、2026年の減少を日量160万バレルと見ていた。9月には米国とイランの協議停滞で正常な輸送の回復が翌年にずれ込むという前提を置き、需要減を日量250万バレルへ引き上げた。これは実績値の訂正ではなく、新たな供給・輸送条件を織り込んだ予測の改定である。外交や海運の状況が変われば、次の月報でも数字は変わり得る。
日本の読者にとって重要なのは、世界の需要減を国内需要の減少と同一視しないことだ。IEAの公開概要は「特にアジア」と述べるが、この一文だけで日本単独の減少量、軽油の小売価格、樹脂製品の不足率までは示していない。国内の影響を評価するには、製品別の輸入・生産・在庫と価格統計を別途確かめる必要がある。石油備蓄の日数を説明する既存の記事とも論点は異なり、本稿は中間留分と化学原料の供給が需要予測をどう変えたかを検証した。
掲載写真は2024年12月に撮影された愛媛県の太陽石油四国事業所の夜景で、製油所の設備を示す資料写真である。2026年のホルムズ輸送、同施設の稼働率、製品不足を写した証拠ではない。
프리즘코리아 편집국 > 서유진 · Yujin Seo



